Posted on 11月 20 2017 by admin

「仕舞う」に見る収納文化

「仕舞う」とは、大切なものを、然るべきところにきちんと保管する所作を表している美しい言葉です。「仕舞う」には、日々使用する道具の扱いに対する日本人の美意識をも表しており、「仕舞う」ということを考えていくと、暮らしそのもののあり方が見えてきます。

箪笥(タンス)の文化
第二次大戦後の箪笥の代表は婚礼セットで、洋服ダンス・和ダンス・整理ダンスなど、あまり複雑な作りのものではありません。しかし昔の箪笥には精密な作りの物があり、隠し扉や、所定の手順で開けていかないと開かないからくりがあったりしました。船箪笥、薬箪笥、茶箪笥など、用途に応じて様々な工夫がされていたりしました。

昔の収納は、何をしまうのにも全て箪笥でまかなっていましたが、茶道文化とともに発展してきた茶箪笥は、庶民の家庭でも茶を飲む習慣が生まれたことにより、茶の間の収納棚として発展していきました。

現代では見かけなくなりましたが、少し前まであった茶箪笥は、違い棚、引き戸、引き出しがあり、明治後期になって定着したもので、飾るという観念を持って作られた余裕のある作りが、贅沢な優雅さを演出しています。引き出しには手紙や証明書類などを入れることもあり、細かく仕切られた戸棚には、急須や茶筒をはじめ、食べかけのおやつまでしまっていました。こたつの前に座ると、後ろに大きな茶箪笥があり、座ったままですべてのことが処理できるという暮らしのスタイルが一般的でした。

このような伝統的な家具の良い点を今の暮らしで活かすなら、調味料や保存食は戸棚に、お箸やスプーンなどは引き出しの中に入れるなど、小物収納が必要な現代のダイニングでも、しっかり活躍してくれるのではないでしょうか。

Comments are closed.